広く浅い系のどうしようもないオタク

精一杯映画について書いたり、書かなかったり。自身のFilmarksからの転載もある。

グリッドマン ユニバースの違和感

面白い、、、面白いけど、、、

ただ色々これで良かったのか?と悩んでしまった。

勿論良かった点も多いので、そこから振り返ろうと思う。

面白かった点

・戦闘

メカ、合体、必殺技言うことないです。最高!

・キャラクター

再会と掘り下げ、SSSS.GRIDMANとSSSS.DYNAZENONのキャラクターが上手く関わっていた。
特に響裕太に関しての掘り下げと、彼自身にスポットを当てたのは、いい視点の転換だと思う(SSSS.GRIDMANではグリッドマンとの融合だったため)。

・展開

学園祭前の日常パートからSFへの転換が素晴らしい、ビューティフル・ドリーマーみがある。

悩んだ点

・TVシリーズ両作品との方向性の違い

お祭り作品であることを受け入れても、TVシリーズの日常と非日常の空気感の差がでていない。
SSSS.GRIDMANでは裕太たちの日常に怪獣が出て、グリッドマンとして戦う非日常になっていく。そのなかでアカネは屈折した感情さら自らに都合の良い世界を作り出していたが、その作られた存在によって救われ、最終的にはアカネは現実の世界と向き合うことを決意する。
という アカネが作った世界の日常→非日常→現実 という流れが美しく、アカネがアカネ自身が作ったものに救われるという自助の姿が感動させられると思っている。

SSSS.DYNAZENONでは突如出現した怪獣と目的不明の怪獣優生思想とガウマ隊との戦いの中で、他者との関わりを避けてきた隊のメンバーが、他者と積極的に関わり合い、なんでもないが大切な日常を得るという。
孤独な日常→非日常→なんでもないが大切な日常 を得ていくというところに面白さがあり、特に最後の最後まで、敵や設定を暈すことでキャラクター同士の関係に焦点をあてたのは良かった。

そして今作は、それらの物語後の話なので、当たり前だが前半の鬱屈した空気感はなく、普通の日常からお祭りへ行き、エモエモ演出で泣かせるという、構成になっている。
しかし、既存キャラを使うためTVシリーズっぽさを出すのは難しいかなと思う。

同時にSSSS.GRIDMANでは暈されていた裕太の人格や、SSSS.DYNAZENONでの蓬と夢芽互いの好意が明らかになりすぎて、そこは語らずに想像に任せるほうが、楽しいのではとも思ったが、続編を作るにあたって暈し続けるわけにはいかないか。

不満点

・アカネ

アカネを出さないでほしいとは言わないが、出過ぎだと思う。確かにアカネとアンチ君との語りとか、立花との再会とかエモエモだと思う。
しかしSSSS.GRIDMANの最終回で現実世界に目覚めたアカネをもう一回グリッドマンの世界に出すのは、一回感動的に死んだキャラクターが割と早く蘇るみたいな感覚になった。

・敵

前作SSSS.DYNAZENONでは怪獣優生思想の目的や行動理念が最終回直前になっても、わからなすぎて回収できるか心配していたが、最終回になって、作劇のため敢えて触れないのだと気づいた時には感動した。

SSSS.GRIDMANのアレクシス・ケリヴは、trigger作品のよくある二項対立の虚無の面をそのままキャラクターにして親しみやすさを加えたような造形で、最後のグリッドマンの本来の治す力が明らかになると、対比が効いて、グリッドマンの世界がアカネの内面だとすれば、絶望(怪獣を作る)→自助(自分を癒す)という経過が現れていて、作品全体からみて良いキャラクターだと思う。

対して今作の敵は「敵」である、それ以外に説明のしようがない。
魅力がないというか、感想が出てこない。
ここは明確に今作の弱みだと思う。

・中身

で結局のところ今作の物語が始まって終わるまでに何が変わったの?
裕太が立花に告白したのは良いけど、それと今回の事件に何か関係があったのか?
と思う。
最初の方で引き合いに出したビューティフル・ドリーマーではラムとの関係を再考するようになるなど
作劇のカタルシスTVシリーズの様な爽やかな読了感がない。

・比較

今回比較対象として正しいかわからないが、
アベンジャーズ/エンドゲーム」を挙げたい。
お祭り作品とシリーズ完結?作の点で「アベンジャーズ/エンドゲーム」を選んだ。
エンドゲーム自体には今作と同じくあまり中身がない。しかし、エンドゲームに至るMCU作品にはそれぞれのヒーローの背景があり、膨大な作品数がそれをカバーし、そんなヒーローたちが協力して、虚無的な思想をもつサノスに戦うという点がグリッドマン・ユニバースと似ている。
相違点は敵の思想や背景であると思う。
エンドゲームもけして十分とは言えないが、魅力的な存在として、サノスを描いている。
抑圧についてもサノスの指パッチン後の世界を受け入れるかどうかみたいなことを、ヒーローだから認めないというカタルシスがある。
グリッドマン・ユニバースについては前項の通り。

総括

面白いと思うが、私としては抑圧から開放へといったカタルシスが欲しかった。
TVシリーズはその点が魅力的だったので、
ただ本作は面白いし、特典は豪華だし、泣けるシーンもある。
得るものはないが、すごく面白い作品だと思う。
2023/04/10

追記 これを書いたのは公開直後だったんですが、「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」も面白かったが見た後悩んでしまって、今思うと自分はお祭り騒ぎにストーリーが侵食されている感が好きじゃないのかもしれない。。。